先進国による農産物調達のグローバル化が進む中,途上国ではそれを梃子とした経済発展の可能性が広がる一方,地域の社会経済が多国籍企業の調達行動に大きく影響を受ける事態が生じている.こうした中で重要となるのは,多国籍企業の調達行動に対峙して,生産者や輸出業者といった異なる経済主体から構成される「産地」が,いかなる技術的・経営的適応をなしうるのか,その過程に政府はいかなる介入や支援をなすべきかといった問いである.本研究ではトンガの対日向けカボチャ生産の盛衰過程について,その背後にあった産地システムの動態を分析し,上記の問いに答えることを試みた.
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