研究課題/領域番号 |
24720381
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研究機関 | 明治学院大学 |
研究代表者 |
半澤 誠司 明治学院大学, 社会学部, 准教授 (20514954)
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キーワード | コンテンツ産業 / アニメーション産業 / ゲーム産業 / デジタル化 / 地方分散 |
研究概要 |
本年度には,未公開あるいは未整理のデータを整理すると共に,アニメ産業に関する本調査も開始した。新しく調査できた企業は2社であるが,それぞれ地方の拠点を持っており,近年のアニメ産業の動向を理解する上では鍵となる企業であり,調査は進展している。特に,1社からは重要な情報が得られた。また,既調査企業に対しても再訪調査を進め,近年のアニメ産業の動向理解を進めた。 データ整理の内容は,平成21年度経済センサスの一部個票データから, 「ゲームソフトウェア業」「映画・ビデオ制作業(テレビジョン番組制作業,アニメーション制作業を除く)」「テレビジョン番組制作業(アニメーション制作業を除く)」「アニメーション制作業」「映画・ビデオ・テレビジョン番組配給業」「レコード制作業」「ラジオ番組制作業」の7産業細分類における事業所数・従業者数・立地を明らかにした。これによって,アニメ産業とゲーム産業の基礎的データが把握できるだけではなく,他コンテンツ産業との比較が容易となった。 また,聞き取り調査の実施があまり進んでいないのが大きな問題であるが,その一因が,聞き取り調査の結果から当初研究計画上の仮説修正を迫られたためである。すなわち,アニメ会社の地方立地上の意義が,単に生産技術上の変化から生まれたものでは無く,東京における産業集積内における制作環境の悪化が看過し得ない状況になってきたことがある。そして,地方立地によって集積内のロックイン効果から逃れる企業も出始めた。この点を,どのような観点から説明するかが,目下の課題となっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
未公開データ整理に労力が割かれたことと,仮説の修正を迫られたことが大きい。本調査自体は進み始めているが,まだ十分企業数を調査できているとはいえない。アニメ産業にとっての地方分散の意味は見え始めているため,今後はそれを十分に立証するデータの収集に尽力する。 ゲーム産業の調査については,アニメ産業調査に時間を取られているため,完全に終了できない可能性が高まっている。この点については,完全に調査が終了せずとも,今後の研究に繋がるような調査は行い,アニメ産業調査の成果も反映させて,仮説修正などを行う。 未公開データの整理とは,第1に経済センサスの個票データであり,これが3万件超におよぶため,その抽出と整理および地図化に相応の時間を要してしまった。第2に,ゲームソフトの販売データの整理であり,これも3万件超におよぶため,未だに作業が完全に終了していない。 また,本調査を始めたところ,当初予定していた仮説が技術変化を背景とした知識ネットワークと企業立地の変化であったのに対し,技術変化がもたらした産業構造変化による集積内ロックイン効果とその脱却という方向性がみえてきた。このための質問項目の練り直しに時間がかかった。
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今後の研究の推進方策 |
全体としては,ゲームタイトルデータ入力・整理作業が終了していないため,その人件費支払額が,当年度において最大の支出となる。 勤務先の研究費も活用して旅費を捻出し,アニメ会社に対する調査を行う。特に,修正した問題意識を基にして,既調査企業に対しても再訪調査を行いたいと考えている。この際には,昨年度整理したマクロデータなども提示資料として活用する。 予定していて昨年度全くできなかったこととしてゲーム会社への調査があるが,新規調査先への訪問は当面難しそうであるため,既調査企業に対して,顔つなぎの意味も込めた再訪を行い,仮説の探索を行う。 また,2014年8月には、IGU (International Geographical Union)の2014 Regional Conference (於クラクフ)で本研究の途中経過を基にした研究報告を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
昨年度中に完了する予定であったデータ入力作業が一部完了しておらず,その人件費支払いがまだ完了していないため。 作業者からは,データ入力作業が佳境に入っているという連絡は受けているため,終了次第支払いにあてる。
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