最終年度にあたる27年度においては、まず、早稲田大学で実施された国際シンポジアム(International Symposium Family in Transition) にて、本プロジェクト開始より蓄積してきた知見をワーキンングペーパー(Mothering and Work Detachment: Insight into Future of Female Labor Participation in Japan) としてまとめ、英語で発表を行った。このシンポジアムで得た他の国際的研究者からのコメントも参考にしながら、当論文を投稿論文として加筆修正し、近日中に英文雑誌に投稿予定である。また、昨年度より延期されていた個別のライフヒストリーインタビューを実施した(夫婦3組、計6名)。プライバシーの関係上夫婦別々にインタビューは行ったが、インタビューの前後には夫婦と共に話をすることもでき、貴重なペアデータが収集できた。インタビューのテープおこしは完了しており、分析が進行中である。すでに実施済みであるフォーカスグループデータが示す親子間の親密性を補足する語りが見られると同時に、夫婦関係の希薄さが具体的に浮き彫りになる内容となった。詳しい分析結果は今年度中に国際学会にて発表予定である。なお、オーストリア大学が進めている日本人の幸福にかかわる書籍に収録予定の母親業と夫婦関係についての論文は、最終校正段階に入ってはいるが、前年度より引き続き編集作業が進行中である(28年度中に出版予定)。
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