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2012 年度 実施状況報告書

スラム観光をめぐる人類学的研究―ラテンアメリカの現状から

研究課題

研究課題/領域番号 24720397
研究種目

若手研究(B)

研究機関立教大学

研究代表者

内藤 順子  立教大学, 観光学部, 助教 (50567295)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワードチリ / サンチャゴ / メキシコシティ / スラム観光 / プロプアー
研究概要

観光とは、観光地となる場所やそこに暮らす人びとに利益と悪影響を表裏一体でもたらす現象である。本研究ではプロプアー(貧困にやさしい)という理念のもと、ここ数年でツアーとして商品化され、世界の複数都市において実施され始めた「スラム観光」についての人類学的調査研究である。スラム観光は貧困者の生活基盤確立に寄与するのか、倫理的な問題はいかに検討されクリアされるのか、利点と弊害を多角的な考察を進めている。
具体的には、スラムそのものが観光資源(利益の源)になるという、これまで想定されなかった事態の現状把握について、初年度はメキシコシティにおいてスラム観光実施地区でのフィールドワークと、実施母体となるツアー関連会社・ガイドとのコンタクトをとりラポールを築くことができた。またサンチャゴ(チリ)においては目下、スラム観光実施計画遂行段階にある現場(自治体および候補スラム地区)に参与して調査研究を進めている。
以上をうけて、1.プロプアーという思想(理念)の枠組みが現場においてどのように掲げられ、そのもとに実施されている事柄の妥当性と可能性あるいは修正すべき点があるとしたらどのあたりなのか、2.スラム観光についての倫理的問題を多方面から把握・検討すること、この2点について重点的に考察を進めることができた。
また、プロプアーという思想についての文献研究もあわせて進めている。
本研究では対象が明確で具体的であり、観光の可能性について提言し、またスラム観光についての多角的側面からの提言となる点で、社会的貢献にもつながりうる意味で、意義のある研究であると考えている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

初年度はメキシコシティとサンチャゴ(チリ)において現地調査を実施した。メキシコシティにおいては現地での良好なラポールを築けたため順調といえる。またチリにおいては現場での計画に参与しているという点で、予想よりも恵まれた環境で調査を実施できている。ただし、それらの中間成果の公開が十分できていないため、平成25年度は日本文化人類学会における分科会発表および各種論文を投稿する予定であり、それらのアウトプットをうけてひろく意見収集を行いたいと考えている。

今後の研究の推進方策

初年度はおおむね順調に進んでいるので、引き続き現地調査および文献研究を実施する。2年目にあたる平成25年度はあわせて学会発表と論文執筆による途中経過をアウトプットし、広く意見を収集する。それをもって最終年度に向けての必要な修正の有無と補充調査の計画を厳密に検討する。
ただし、スラム観光の地域間比較研究について、当初の計画ではブラジル・メキシコ・チリとしていたが、ブラジルでのワールドカップおよびオリンピック開催に向けた現地の状況が不安定であり、現地調査にかかる費用が高騰する点でも、地域の変更を検討している。具体的には、同じカトリック圏であり、スラム観光についてブラジルよりも経験と蓄積のあるフィリピン(セブまたはマニラ)を考えている。ブラジルと比較して近距離でありまた当該地域の研究者との密な連絡をすでに築けているので妥当かつ可能な変更であり、場合によってはブラジルよりも意義深い調査結果をもたらしうると考えている。

次年度の研究費の使用計画

平成24年度は一時的な体調不良のため現地調査の回数を減らし、また実施した調査についても日程短縮を行ったため、次年度への繰越金が生じた。次年度は、本年度に保留した現地調査内容についてあらためて取組むことを含めて、引き続きサンチャゴ(チリ)およびメキシコシティもしくはフィリピンにおける渡航調査を実施する。そのため研究費は主として旅費にあてる。
また、現地調査補助として謝金を支出するほか、消耗品および必要機器類を購入する計画である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて その他

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] 観光地の先住民をめぐる人類学的考察

    • 著者名/発表者名
      内藤順子
    • 学会等名
      マレーシア学会
    • 発表場所
      立教大学
  • [学会発表] スラム観光の実施をめぐる感情的葛藤

    • 著者名/発表者名
      内藤順子
    • 学会等名
      日本文化人類学会
    • 発表場所
      慶應大学

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公開日: 2014-07-24  

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