研究課題/領域番号 |
24720404
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 新潟県立歴史博物館 |
研究代表者 |
大楽 和正 新潟県立歴史博物館, その他部局等, 研究員 (20526959)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 伝統野菜 / GIS / 減反 / TPP / 文化変容 / フォークロリズム / 文化の客体化 |
研究概要 |
減反政策は古きよき水田文化を瓦解させた画一的事業として否定される傾向にあり、旧来の民俗学で等閑視されてきた。しかし、水田風景が失われたとしても、減反・転作地に「伝統野菜」を作付することによって、「ふるさと」イメージが創出され、新たな「伝統」が増殖し続けている。本研究では、減反地の転作作物が「伝統野菜」といったフレーズのもとで創出され、どこか懐旧的な色彩を帯びながら商品化されていく現象を検討するものである。 本研究を遂行する前提として、米の増産から減反・転作へと向かう土地利用の推移を明らかにする必要がある。そのため、越後平野のうち新潟市域を調査対象地とし、減反政策が開始される1970年以前の1960年代の土地利用、ウルグアイ・ラウンド農業交渉の合意によって減反・転作が強化された2000年前後および近年の土地利用のあり方を航空写真等をもとに把握した。また、農林業センサス等の各種統計資料を参照し、基礎データを整えた。今後、これらの基礎データをもとにインタビュー調査で得られた情報を加え、土地利用の推移を明らかにする計画である。 また、新潟市や長岡市、魚沼市、十日町市で現地調査を実施し、減反・転作以前における、それぞれの在来品種作物の生産活動を明らかにし、その後の減反・転作にともなって伝統性を帯びた農作物が拡散していった背景を明らかにした。このほか、在来品種の野菜や転作作物に関する新聞記事等を集成し、「伝統野菜」が創出された背景についても調査を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
農地情報のGISデータの整備などは遅れているものの、米粉促進の動向や伝統野菜の作付けに関するインタビュー調査などは計画以上に進展した。
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今後の研究の推進方策 |
各種伝統野菜における実態を順次明らかにしていく。とくに新潟県はナスの作付面積が日本一で、その背景には在来種とされるナスが伝統野菜として減反・転作地に拡散的に栽培されていったことがあげられる。県内のナス品種は18種あるとされるが、そのなかでも「十全なす」は新潟県を代表する伝統野菜として栽培が盛んである。越後平野における「十全なす」栽培は、昭和初めに村松町十全(現五泉市十全地区)から泉州水なす系統の品種を移入したのがはじまりとされる。現在では数集落が共同で生産出荷に従事する共選出荷組合を組織していることも特徴で、家単位で労働経営してきた従来の農業形態と異なる。 これまでの研究は家の個別生計活動状況に集中しているが、本研究では伝統野菜の生産にともなって、家や集落を超えて地域が統合しながら「伝統」文化を創出していく過程を検討する。そのほか「黒埼茶豆」「やわ肌ねぎ」などの伝統野菜のほか、「新潟米」「コシヒカリ」を謳った新規需要米の米粉など、伝統性を帯びた減反・転作作物の生産が拡大していく実態と、その背景を明らかにする。
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次年度の研究費の使用計画 |
現地調査および文献調査の旅費が中心となる。また、米の増産から減反へと向かう土地利用の推移を視覚的に明らかにすため、GIS等を活用して土地利用図を作成する予定である。そのためパソコンおよびGISソフト等の物品費が必要となる。基礎データの整理およびデータ作成等は一部の作業を委託し、効率的に研究をすすめ、研究費を有効に使用する。
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