研究課題/領域番号 |
24720404
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研究機関 | 新潟県立歴史博物館 |
研究代表者 |
大楽 和正 新潟県立歴史博物館, その他部局等, 研究員 (20526959)
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キーワード | 伝統野菜 / 減反 / TPP / フォークロリズム / 文化の客体化 / GIS |
研究概要 |
本研究は、減反地の転作作物が「伝統野菜」といったフレーズのもとで創出され、どこか懐旧的な色彩を帯びながら商品化されていく現象を検討するものである。 新潟県はナスの作付面積が日本一で、その背景には在来種とされるナスが伝統野菜として減反・転作地に拡散的に栽培されていったことがあげられる。県内のナス品種は18種あるとされるが、そのなかでも「十全なす」は新潟県を代表する伝統野菜として栽培が盛んである。越後平野における「十全なす」栽培は、昭和初めに村松町十全(現五泉市十全地区)から泉州水なす系統の品種を移入したのがはじまりとされる。本年は新潟市域を中心に十全なすなどの生産活動およびその動向について調査を進めた。その結果、現在では数集落が共同で生産出荷に従事する共選出荷組合を組織し、家単位で労働経営してきた従来の農業形態と異なるものであった。これまでの研究は家の個別生計活動状況に集中しているが、本研究では伝統野菜の生産にともなって、家や集落を超えて地域が統合しながら「伝統」文化を創出していることが明らかとなった。 また、長岡野菜、なにわ伝統野菜など、各地の伝統野菜推進をめぐる動向についても調査を進めた。そのほか大口れんこんなどの伝統野菜や、「新潟米」「コシヒカリ」を謳った新規需要米の米粉など、伝統性を帯びた減反・転作作物の生産が拡大している実態についても確認した。今後は伝統野菜をめぐる動向を、農家が主体的に選択した減反政策への対抗、現代社会への適応という観点から捉え直し、水田文化を取り巻く政治性についても検討を加えていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
農地情報のGISデータの整備などは遅れているものの、伝統野菜の作付けに関するインタビュー調査などは順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度は、減反・転作地に関する土地利用調査、インタビュー調査、新聞記事等の文献調査の成果を集約し、総合的に検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
予定していたデータ整理の作業員のスケジュールが合わず、人件費・謝金に残金が生じた。 データ整理作業を進め、人件費として有効に使用する。
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