現代中国における法化社会の形成過程における市民参加の現状とその背後にある法的・政治的要因を解明することが、本研究の目的である。そこで、司法分野に関しては、「人民参審員制度」に関する規定の内容、制度改革の背後にある議論および基層裁判所における当該制度の運用実態を解明した。立法分野に関しては、法律(行政法規や地方の条例を含む)の草案を公布し、社会に対して広く一般に意見徴集を行うというやり方が定着していて、制度的にも保障されていることを明らかにした。そして、いずれの分野においても、市民参加の制度が共産党政権による統治を維持する(正統性を獲得する)ための道具として利用されていることを明らかにした。
|