本研究では,自動車運転に起因する過失致死(致死傷も含む)の刑事裁判の確定記録を対象に調査を実施ししたものである. まず,意見陳述制度の利用の有無を規定する変数について探索的に分析を行い,被害者と遺族の関係性や,被告人に対する遺族の評価といった要因が意見陳述制度利用の規定要因として重要である可能性を示した.そして,意見陳述制度の利用が実刑判断を促進している可能性を支持する結果も示されたが,サンプル数の限界のためさらなる検証が必要である.他方で,このような影響があると考えた場合に,そのメカニズムがどのようなものであるかについても,入手できたデータの範囲で検討することができた.
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