研究課題/領域番号 |
24730022
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
岸野 薫 香川大学, 法学部, 准教授 (70432408)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | アメリカ憲法史 |
研究概要 |
本年度は、アメリカ再建期の憲法理論について、主に検討を行った。再建期は、合衆国憲法修正14条という、憲法中で最も重要な条文が追加された時期にあたる。この時期、本条項の追加により、憲法秩序の変動は起きたのか、起きたとすれば、それはどの程度の変化であり、現代の憲法解釈に、どのような影響を及ぼしているのか。これらを、連邦最高裁判決や連邦議会議事録を辿り明らかにすることが研究開始当初の課題であった。 ただ研究自体、遅滞しており、上記のような問いに、答えを出すにはまだ至っていない。原意や歴史を重要視する学者たちの先行研究を整理し、かつ、先に掲げた一次文献を読み解く作業を、引き続き行う予定である。 しかし、いくつか新たに得られた視角もある。それは、当時において、公私区分論が、共同体を維持するための「排斥」の理論として用いられていることである。今後は、この視角を念頭に、更に多角的に、南北戦争・再建期がアメリカの国家構造ならびに憲法秩序に与えた影響について、考察を深めていきたい。 また、主権概念を考察する過程で、主権者人民を作り上げる「公教育」へと関心が広がった。公教育もまた、今日において公私区分論にかかわる新たな問題(「新しい公共」)を提起している分野である。主権者教育論の萌芽は、既に合衆国憲法制定期にみられるところであったが、再建期には、それがどこまで進歩・発展したか。当初の研究課題の中で論じられる限りにおいて、検討を行いたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
資料収集のため現地に出向くなど予定していたが、本研究課題以外の研究および学内業務が重なり、平成24年度はまとまった日数の確保が困難であった。そのため、取り寄せ可能な資料しか入手できず、研究がやや遅れる結果となっている。
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今後の研究の推進方策 |
合衆国再建期の主権論の考察から、公私区分論という今日でも論争のあるテーマが、共同体を維持するための「排斥」の理論として用いられていることが明らかとなった。今後は、この視角を念頭に、更に多角的に、南北戦争・再建期がアメリカの国家構造ならびに憲法秩序に与えた影響について、考察を深めていきたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
パソコン等、高額の備品の購入予定はない。 引き続き、物品では主に書籍を購入する予定である。 入手不可能な古書、資料等については、現地に出向き、図書館を利用しなければならないため、旅費として使用させていただきたい。
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