一見中立的な公的行為が及ぼす「差別的な結果」を憲法上の問題として把握する手立てを探るため、アメリカの判例理論の分析を行った。この問題につき、アメリカでは差別的意図の立証が要件とされ、現在では、立法者にあるグループを害する明確な意図、すなわち「悪意」が存在していたとする直接的な証拠を求める「悪意的意図」のアプローチが判例となっている。 次いで、上記の判例法理を批判する諸学説の検討を行った。それらは、①社会にもたらす否定的かつ差別的なメッセージ、②より差別的でない他の選びうる手段の可能性、③無関心かつ傍観的な態度による問題の放置といった点を考慮して、政府の責任を認める学説に分類することができる。
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