研究課題/領域番号 |
24730027
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研究機関 | 成城大学 |
研究代表者 |
大橋 真由美 成城大学, 法学部, 教授 (00365834)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 行政不服審査 / 行政不服申立て / 苦情処理 / ADR / 行政救済 / 行政争訟 |
研究実績の概要 |
研究期間3年目となる本年度は,主として本研究テーマの研究計画において示した第3ステージの作業(個別の行政領域ごとに,最適な救済の受皿の在り方を検討)に従事することになっていた。 まず,行政不服審査の対象とならない行政活動一般に対する救済の受皿として重要な意義を有する「行政苦情処理」について知見を深めるべく,一般的な情報収集活動のほか,総務省「行政相談高度化アドバイザー」の職に携わることを通じて知見を深めた。また,このような作業の結果得られた知見については,2014年12月12日に東京・弁護士会館にて開催された日弁連主催の研究会における講演において披露したほか,2015年3月に公刊した単独執筆による研究書『行政による紛争処理の新動向』(日本評論社)において公表した。 さらに,わが国の行政救済制度のあり方を考えるにあたって比較検討の対象となる諸外国における行政救済制度に関する情報収集の一環としてベトナム社会主義共和国における行政救済制度に関して総務省と共同で現地調査を実施し,行政救済全般を担当している中央省庁である国家監察省(Government Inspectorate of Vietnam)に対するインタビュー等を実施した。また,この出張を通じて得られた成果は上記の単著『行政による紛争処理の新動向』において公表した。 また,分担執筆した法学部学生向けの資料集『行政法Visual Materials』においては,行政不服審査・行政上の苦情処理・行政審判等行政救済制度全般に関して担当し,本研究テーマを通じて獲得した知見も反映させた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究期間3年目は,当初の計画にあたった通り,第3ステージの作業を中心に分析・検討作業を展開し,上記「研究実績の概要」に示した通り,成果をまとめた論稿についても公表の機会を得ることができた。また,研究計画にあった外国の制度に関する調査研究についても,ベトナム社会主義共和国の制度を取り上げ,検討することができた。そのような意味で,研究計画をある程度順調に進めることができていると評価できると考える。
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今後の研究の推進方策 |
研究期間最終年度となる平成27年度は,これまでの研究活動の総括として行政救済制度のあり方全般について具体的示唆を得,これらの情報を積極的に論文として公表することを目指したい。また,申請者は本年秋には日本公法学会において報告を行うことを予定しており,その報告テーマ(「訴訟以外の方法による権利利益の実現」)は,本研究テーマと深く関わっている。そこで,本研究を通じて得られた知見を当該学会報告の中においても取り入れ,成果を公表していきたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究期間3年目となる本年度は,家庭の事情との調整を行って海外調査を何とか1件実現することができたが(総務省との共同でのベトナムにおける行政紛争処理の視察),本来予定していたアメリカ合衆国における現地視察および資料収集を実施することができなかったのが主たる理由である。
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次年度使用額の使用計画 |
研究最終年度となる平成27年度は特に米国への海外出張をぜひ実現したい。また,国内各地の具体的事例に関するインタビューも実施することとし,研究費を適切に支出していくこととしたい。
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