研究課題/領域番号 |
24730027
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研究機関 | 成城大学 |
研究代表者 |
大橋 真由美 成城大学, 法学部, 教授 (00365834)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 行政不服審査 / 行政不服申立て / 苦情処理 / ADR / 行政救済 / 行政争訟 |
研究実績の概要 |
研究期間4年目となる平成27年度は,平成26年度の引き続き,当初の研究計画書で示した,本研究テーマにおける第3ステージの作業に主に従事した。本研究テーマにおける第3ステージの作業とは,行政不服審査の対象とならない具体的な行政領域をいくつか抽出し,これらにつき,それぞれの領域固有の特質・事情等を踏まえつつ,紛争の予防段階から紛争の解決に至るまでのトータルな紛争処理体制のあり方を考えるというものである。 平成27年度は,具体的な行政領域として,政府調達契約分野,刑事施設内における収監者保護に関わる分野,消費者事故調査の分野等の各領域を取り上げ,それぞれに関して,当該分野における国民の救済の仕組みの現状と今後のあり方に関する調査・分析を実施した。また,4年間にわたって展開してきた本研究テーマの総括として,わが国における行政救済制度全般の今後のあり方に関しても,行政訴訟・行政不服審査・行政手続・その他の各種手続というように,幅広い視点から検討を行い,具体的な示唆を得られるべく努めた。 これらの作業の成果は,平成27年10月に同志社大学で開催された第80回公法学会総会において,「行政に関わる権利利益の訴訟以外の方法による救済」というテーマの下で公表し,一定の結論を示すことができた(報告内容は,雑誌「公法研究」に掲載される予定である)。また,上記公法学会報告当日に受けた指摘内容も踏まえ,さらに内容を深化させた報告を平成28年3月に河中自治振興財団主宰の行政法制研究会において行うこともできた(報告内容は,雑誌「行政法研究」に掲載される予定である)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究期間4年目にあたる平成27年度は,当初の計画にあった通り,第3ステージの作業を中心に分析・検討作業を展開し,上記「研究実績の概要」に示した通り,個別領域における行政救済のあり方に関して検討を進めると同時に,これまでの研究活動の総括として行政救済制度のあり方全般に関しても検討を行い,その成果を日本公法学会および行政法制研究会という二つの場において公表することができた。 しかし,その一方で,学会報告・研究会報告の準備に追われたため,当初予定していた比較法的研究(特に米国における調査研究)を実施することができなかった。そのような理由で,現在までの研究の進捗状況は「やや遅れている」とした。
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今後の研究の推進方策 |
本年度については,研究期間の延長の承認を受けることができ,引き続き本研究テーマに関する作業に従事することができるようになった。このことを活かし,これまで十分に実施することができていなかった比較法的研究に重点を置いて調査・検討作業を行い,本研究テーマに関する作業を完成へと導きたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成27年度は,大きな学会報告・研究会報告が続き,これに対する準備に時間を要したため,研究計画において予定していた海外出張を実施することができなかったことが一番の要因である。
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次年度使用額の使用計画 |
研究期間最終年度となる平成28年度中に,当初予定していたアメリカでの各種文献調査を実現したいと思う。
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