1.研究の概要: 本研究は、3年間の研究期間内に、農業協定10条の他、同協定4.2条、ガット20条、繊維協定5条等の関連規定の機能について「迂回防止」という機能的共通性を軸に統合的な整理を試みることを目的とした。いずれの協定の解釈においても、規律の実効性を確保するために「迂回」を抑止する機能を有する一方で、禁止されていない行為を国家が取る正当な裁量を尊重するためのバランスのとり方が鍵となることを明らかにした。 2.研究の実績: 申請書においては、最終年度はこれまでの研究のアップデートと取りまとめと発表に重点を置くこととしていた。その記載通り、積極的に成果発表を行った。 まず、米国、韓国および台湾において開催された3つの国際学会において、それぞれ口頭発表を行い、国外への発信に努めた。とりわけ、米国シカゴ市で開催された国際法学会(American Society of International Law)のMidyear Meeting and Research Forumでの研究報告は、本研究の主要な成果を示す内容であった。出席者と意見交換することを通して、さらなる研究の発展のための糸口をつかんだ。 また、英文1本、和文1本の研究論文を公刊し、かつそのオープンアクセスを確保することにより、より幅広い研究成果の公開に努めた。具体的には、和文の研究論文は所属機関の学術レポジトリに掲載し、英文の研究論文はプレプリントをSSRNに掲載した。
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