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2013 年度 実績報告書

国家の成立・変動の司法的コントロール―政治的紛争概念の再評価―

研究課題

研究課題/領域番号 24730035
研究機関千葉大学

研究代表者

藤澤 巌  千葉大学, 人文社会科学研究科(系), 准教授 (20375603)

キーワード国家 / 主権 / 国際司法裁判所
研究概要

平成25年度においては、司法的コントロールの限界に関する学説を理論的に検討した。学説の理論的分析においては、「重大利益説」を素材とし、とくにその理論的到達点といえる戦間期のモーゲンソーの理論を中心に検討した。彼の議論は従来、「政治的紛争」を国際法の変更を求める動的紛争として捉えるものと理解されてきた。しかし、彼の議論を精査すると、彼が「政治」を国家そのものに密接に関連する事象として定義し、なかでも「国家の存立自体」を最も政治的な事象と捉えていることがわかった。つまりモーゲンソーの政治的紛争論は、いわゆる「重大利益説」の理論的到達点として「国家の存立自体」を政治概念の中心に据える理論と解釈することができる。
このモーゲンソーの「政治」概念は、シュミットの政治概念との対決に基づいて構成されていた。よく知られているように、シュミットは、その著書『政治的なるものの概念』において、政治の積極的な概念規定を試み、政治は私的なものではなく公共的性格をもつことを強調し、政治とは公敵と公的な味方の識別すなわち「友敵」区分であると定式化した。これに対して、モーゲンソーの「重大利益説」は、シュミットのこの議論を詳細に検討したうえで導出されていた。
本研究の対象である国家の形成・変動の問題はまさに「国家の存立自体」の問題である。こうしてモーゲンソーの「政治」概念は、国際司法裁判所が、国家に関する問題の判断を安全保障理事会などの国連の「政治的」機関に委ねる傾向を、理論的に説明する可能性を開くものと捉えることができた。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2013

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] Conference, Arbitration and the Triple Intervention of 1895: Relevance of the Western Ways of Dispute Settlement in East Asia2013

    • 著者名/発表者名
      Iwao Fujisawa
    • 雑誌名

      Korean Journal of International and Comparative Law

      巻: 1 ページ: 65~83

    • 査読あり

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公開日: 2015-05-28  

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