本研究では、国際海上物品運送契約における裁判管轄条項に関し、日本法の立場を国際的な状況を踏まえて相対的に把握しようと試みた。2008年に成立した「全部又は一部が海上運送による国際物品運送契約に関する国際連合条約」(ロッテルダム・ルールズ)の管轄規則、英、米、仏、独などの外国法を検討した結果、次の結論に至った。(1)船荷証券上の管轄条項に専属管轄合意としての効力を原則として認める現行法の立場は、取引慣行に照らせば現在でも一応妥当である、(2)ロッテルダム・ルールズの管轄章のオプト・インは不要と考えられる、(3)運送人と荷主との間の利害の均衡については、より広い観点からの検討を要する。
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