研究課題/領域番号 |
24730046
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
新屋敷 恵美子 山口大学, 経済学部, 講師 (90610808)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 労働者 / 労働契約の成立 / 約因 / 契約外的関係性 / 契約外的要素 |
研究概要 |
本年度は、研究実施計画中の各論部分の一部について研究した。すなわち、イギリスにおける個別的労働関係法上の労働者概念と集団的労働関係法上の労働者概念との間の異同を、契約の要素と契約外的要素を分析視角として明らかにし、その研究成果を公表した(山口大学経済学雑誌第61巻第4・5号)。 研究実施計画に記載した通り研究の手順を一部変え、Nexus概念に関する総論や歴史的背景から研究を開始する前に、具体的な概念をひとまず取り上げて分析し、総論部分でまたは歴史的背景の部分で解明すべき点を特定することとした。 イギリスにおける労働者概念の異同を解明し、日本における労働者概念との比較を試みた結果、本研究の目標とする労働法分野における契約外的関係性の構築には、契約外的関係性における契約の要素と契約外的要素の明確な区別、契約外的要素が契約の要素に対してどのような意義を持つのか、という点を必ず踏まえなければならないことが分かった。というのも、労働契約をベースとする労働法の領域では、両者の区別を明確にしないと、契約外的要素の意義が契約の要素の意義(契約法)に飲まれてしまいがちだからである。 そして、日本には、労働者概念だけではなく、ほかにも契約外的関係性をとらえる労働法上の概念が散見されるので、今後の研究では、それらの概念を契約の要素と契約外的要素の観点から分析することが必要であると考えるようになった。 なお、Nexus概念の主唱者であるMark Freedlandオックスフォード大学教授にもインタヴュー調査を行い、有益な情報を得たところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
イギリス労働法における労働者概念の分析は早い段階で終了していたものの、論文として公表する際に、いかにして日本の議論と結びつけるべきかについてなかなか定まらず、時間をかけてしまったため。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究では、研究実施計画でも可能性を示唆していたように、イギリス労働法における雇用の継続性見做しの規定、第三者を使用者としてとらえる雇用差別法の分野の規制といった、各論的研究を進める、その成果をまとめ、総論部分の理論の青写真を作る。 それと並行して、あるいは、各論部分の研究を急ピッチで進めて終了させたうえ、Nexus概念の歴史的背景の研究に進みたいと考えている。
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次年度の研究費の使用計画 |
契約法に関する書籍の購入に使用する。
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