独占禁止法における課徴金制度は、昭和52年に導入されて以来、非裁量的で厳格な運用のもと利用されてきた。しかし、独占禁止法違反行為の国際化や企業グループの拡大、流通経路の複雑化・多様化などの社会的変化に対応できず、現行規定をそのまま適用するだけでは十分な抑止力を確保することが難しくなってきている。 このような現代的課題に対し、本研究では、事例分析により、法解釈によって対応できる事例は限られることを指摘する。その上で、同様の問題を抱えるEU競争当局における制裁金算定の実務と理論を明らかにすることにより、我が国における課徴金算定実務への示唆を述べた。
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