本研究は、伝統的な有体物に対する強制処分の研究から出発して、ネットワーク等に蓄積されるデジタルデータの証拠収集の制御方法について研究したものである。伝統的な捜索差押え等の対物的強制処分においては、令状主義の効力範囲が第三者に及ぶか否かが、裁判例において第三者のプライバシーへのアクセスの可能性も考慮され、判断されてきた。しかし、デジタルデータについては、コストを要さずに大量に情報を収集できる。とりわけ、監視型捜査のように情報を蓄積して活用する捜査手法において、この特徴は顕著である。そのため、これまでの令状審査を中心とした令状主義だけでは充分に統制できず、立法を含めた異なる制御方法が必要となる。
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