本研究においては、DV(ドメスティック・バイオレンス)は、関係性の病理であることを念頭に置きつつ、研究を行った結果、主として次のような結論に到達した。つまり、①直接的強制力の限界:直接的な強制力(刑罰、警察等による)の行使のみではその解決・予防に限界があること、②暴力予防プログラムの重要性:地域的な特性を最大限に考慮した暴力予防プログラムを、教育や福祉の諸機関との連携のもと、少なくとも小学校の段階から実施すべきこと、③加害者のケアの重要性:被害者のケアが重要であることは言うまでもないことであるが、DVにおいては加害者の有する被害者性に着目し、加害者のケアも考慮されるべきこと、等である。
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