本研究では、特別刑法によって処罰される領域を明確にするために、とりわけ、刑罰法規の解釈の明確性について分析した。ドイツの憲法裁判所判例においては、近時、罪刑法定主義から、刑罰法規の文言だけではなく、裁判官によるその解釈も明確に行われなければならないことが要請されている。ドイツと日本の抱える問題は共通点が多く、刑事司法制度及び法文化の違いを踏まえても、我が国における導入が検討されるべきである。 我が国の金融商品取引法罰則や会社法罰則は、比較的抽象的に規定されており、新たな事例類型が登場する契機もある。そのような類型について裁判所のより詳細で明確な解釈の提示を要求することがのぞましい。
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