「犯罪の重大性」をテーマとする犯罪学的研究は、Sellin and Wolfgang(1964)以降今日まで、犯罪研究において盛んに行われてきた。しかし、日本では、裁判員制度の導入で一般市民の犯罪に対する認識があらためて問われるようになった今日においても、この領域の研究の蓄積は乏しい。 そこで本研究では、「犯罪の重大性」について検討するとともに、犯罪の重大性に関する知見を、自己申告非行尺度に関する研究代表者自身の研究知見と接続し、犯罪の重大性と犯罪の実行困難度との関係について考察することをねらった。 今年度は、犯罪の重大性をテーマとする犯罪学・社会学・心理学等の関連諸領域の先行研究の包括的な収集・把握を引き続き進めるとともに、国内の先行研究を参考にしつつ、Sellin and Wolfgang(1964)と彼らのその後の研究において使用された調査票の日本語への翻訳をおこなった。また、妥当性があり、かつ簡便に使用できる(項目数が多すぎない)自己申告非行尺度の検討を行うとともに、自己申告非行尺度に関する既発表の日本語論文の英訳をおこなった。また、少年矯正施設(少年院)における犯罪の重大性に関する項目を含む調査票調査の実施と分析を進めた。 以上の検討結果の一部は、すでに学会報告や論文の形で発表しており、次年度も継続的に発表を続ける予定である。
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