本研究は、多様な法分野から構成されている法秩序は相互矛盾すべきではないという「法秩序の一致の要請」について、各論的にその妥当性を検証しようとしたものである。1年目は、刑法の正当化事由を対象にその妥当性を検証した。結論において、同じ正当化事由においても異なる帰結となる可能性を認識し、2年目以降は治療行為に限定して研究を行った。とりわけ3年目は、治療行為のおける被害者の承諾の性質と医師の説明義務の限界について検討を行ったが、最終的には「法秩序の一致の要請」は実際に必要であるが、これまで十分に顧慮されていなかったという帰結に至った。
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