本研究は、犯罪的活動によって生じた財産の同一性や発生源を隠匿・偽装等して合法な資金とする活動全般、すなわちマネー・ロンダリング(以下、「ML」)規制の在り方を探究するため、イギリスにおける理論と実務の現状と課題を調査・分析しようとしたものである。 本研究では、イギリスの「2002年犯罪収益法」に焦点を当て、とりわけML犯罪の成立要件及び阻却事由、刑事的没収による犯罪財産の剥奪手続、ML規制を所管する諸機関による法執行等につき、裁判例の動向や議論の状況を調査し、その特徴と問題点を検討することを通じて、日本におけるML罪の解釈・適用や法執行の方法につき参照可能な知見と今後の検討課題を析出した。
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