研究課題/領域番号 |
24730066
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
大島 梨沙 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 准教授 (20580004)
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キーワード | 国際研究者交流 / フランス / ベルギー / 婚姻制度 |
研究概要 |
本研究は、現行日本法の下で、同性カップル(同性愛によって結びついた同性同士の結合)をめぐる法的課題に対処するための具体的解釈論を提示する作業を通して、わが国の婚姻法を再考することを目的とするものである。日本法下での解釈論提示のための前提と して、最初の2年間は、外国法研究を中心に行う計画であり、本年度は2年次にあたる。 平成25年度は、前年度に一定程度明らかとなったフランス・ベルギーの状況をさらに詳細に研究し、その成果を発表することができた。他方、日本における同性カップルの状況についても研究を開始し、日本法の課題を洗い出すことができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成25年度は、カナダ・イギリス・アメリカにおける同性カップルの法的扱いを主たる研究対象とする一方、同性婚を可能にする法案が可決されるなどの新たな動向を見せるフランスについても研究を継続し、双方の作業を並行して行う計画であったところ、実際には下記のような研究遂行となり、予定とは異なる部分が生じた。 (1) 9月上旬にベルギーのRenchon氏、フランスのGarrigue氏を招聘して実施したシンポジウムを通して、両国における同性婚の導入、その他のカップル法制に関するより深い理解を得ることができた。同シンポジウムの成果は、2月に立命館法学に公表した(後掲「研究発表」欄参照)。また、フランスの同性婚をめぐる最新動向について研究し、2月末の研究会において報告を行った。しかし、申請者個人の体調面の問題から、予定していたフランス・ベルギーでの現地調査、文献収集等は実現することができなかった。 (2) カナダ、イギリス、アメリカについては、これらの国の同性カップルの法的取扱いに通じている研究者とともに7月に打ち合わせを行い、さらに本格的な研究会を2月に開催する方向で具体的調整を行ったが、参加予定者の体調不良等により、開催が延期となった。また(1)と同様の事由により、現地での調査を実行することはできなかった。 (3) 最終年度での研究を予定していた日本法上での解釈論の可能性について、本年度から前倒しで検討を開始した。法的課題に入る前に、日本において、同性カップルが置かれている現状を調べ、そこから日本独自の課題を抽出し、今後検討すべき法的課題を列挙した(後掲「研究発表」欄参照)。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度においては、平成25年度に研究が手薄となったカナダ・イギリス・アメリカにおける同性カップルの法的扱いを研究し、これまでに明らかにしたフランス・ベルギーの在り方を相対化する。そのうえで、平成25年度に抽出した、同性婚に関する日本法上の法的課題について、より一層の検討を行い、一定の結論を出すことを目指す。 (1) カナダ、イギリス、アメリカについては、これらの国の同性カップルの法的取扱いに詳しい研究者とともに、研究会を開催する。さらに、日本国内での文献収集に加えて、カナダ・アメリカに赴いて原語文献収集等を行うことにより、各国それぞれの特徴を把握する。 (2) 同性婚をめぐる問題についての日本法での解釈論の定立を目指して、これまでの研究の成果を日本法の状況と対比し、応用の可能性を探る。この作業に際して、日本の当事者へのインタュー調査を行ってきた研究者との交流を行う。以上の成果については、国内または国外の学会において、報告を行うことを目指したい。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度に使用予定であった研究費のうち、海外渡航費(フランス・ベルギー・イギリスでの調査研究費、カナダ・アメリカでの調査研究費)として充てる予定であった費用がすべて、申請者の体調による実施不能により、次年度(平成26年度)に繰り越す形となった。 当初予定の通りの海外渡航費として使用する予定である。
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