研究概要 |
申請時の研究計画に従い、昨年度に引き続き、フランス法史研究として、18世紀フランスにおけるローマ法学の文献であるPothier, Pandectae Justinianae in novium ordinemのうち、Liber 20の部分について、抵当権の効力、とりわけ抵当不動産の第三取得者に対する追及権を内容を意識して読解を進めた。この作業は現在も継続中であるが、これまでにこの作業で得られた研究成果を、フランス慣習法学についての下記の公表作業とは別に「法学」で公表することとし、そのための中間的なとりまとめの作業も行った。さらに、上記文献を手がかりとして、Pothier以前のローマ法学の文献についても資料収集を進めることができた。 これと同時に、フランス慣習法学及び19世紀のフランス法学についての従来の研究成果に手直しを加え、「法学協会雑誌」において公表する作業を、昨年度に引き続き行った。今年度は、19世紀における民法典の成立とその後のフランス法学について研究成果を公表することができた。この作業も現在継続中であるが、これに加えて、申請時の研究計画通り、日本私法学会において個別報告を行い、これによってこれまでの研究の成果を公表した。 これらと並行して、ドイツ法史研究として、Gierke, Deustches Privatrecht, Bd. 3, Schuldrechtの「債務と責任(Schuld und Haftung)」の部分についての読解を、昨年度に引き続き行った。この作業は、申請時の研究計画で予定していたGierke, Schuld und Haftung im aelteren deutschen Rechtの読解のための準備的作業であるが、この作業により、これまでにGierkeの主張の大要をつかむことができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画通り、19世紀フランス法学に関して研究成果を公表することができ、とりわけ学会報告によってこれまでの研究の成果を公表することができた。ローマ法学についても、計画通り、Pothier, Pandectae Justinianae in novium ordinemを読解することができ、さらにこの作業の成果を公表する準備を進めることができた。 他方で、ローマ法学に関するPothier以外の学者の文献については、収集・調査をすすめているものの、なお残している部分がある。 ドイツ法研究の部分では、当初の計画にない文献を読むことでGierkeの主張の大要をつかむことができたが、当初計画していたGierke, Schuld und Haftung im aelteren deutschen Rechtの読解にはいまだ達していない。
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