本研究では、経産省および金融庁という本来は会社法を所管としていない官庁が、実質的に会社法に属するルール(法に加えて自主規制やガイドラインなどのいわゆるソフトローも含む)の形成に関与するという近時の現象について、記述的・規範的な研究を行った。その結果、法制審や議員立法という従来の法形成のプロセスで利害を反映しにくいアクターの窓口になりうる、裁判所による裁判例を通じたルール形成の不備を補う可能性があるというメリットがあることを明らかにした。他方で、官庁の持つインセンティブによってはルールの内容が歪む余地もあることも明らかにした。
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