研究課題/領域番号 |
24730079
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
齊藤 真紀 京都大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (60324597)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 会社法 / 取締役 / 責任 / 経営悪化 |
研究実績の概要 |
本年度は,昨年度までの調査の実績を踏まえて,引き続きドイツ法における学説および裁判例,実務の状況を把握することに務めると同時に,我が国における議論状況の調査を行った。 平成26年に会社法の改正法が成立し,平成27年5月から施行されることになった。本改正においては,経営悪化時における規律は,直接テーマとはされなかったが,この点に関連する法規定が設けられた。すなわち,支配株主の異動に伴う募集株式の発行等において,一定の規模に及ぶ場合には,大株主の反対の通知があったときには,原則として,株主総会の決議による承認が必要となるが,「当該公開会社の財産の状況が著しく悪化している場合において,当該公開会社の事業の継続のため緊急の必要がある」と認められる場合には,例外的に不要とされる(会社法206条の2)。この例外的な取扱の位置づけは,会社の経営悪化時において,会社運営に対して発言権を優先的に有するのは誰か,という問題に関わる。 本研究は,取締役の責任に焦点を当てるものであるが,これに関連する問題として,上記の点にも,調査の範囲を広げることとした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究協力者の支援により,資料収集が順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
新株発行の規制等も視野に入れて,本件の研究課題を遂行する場合には,法規制の体系を念頭においた議論がなされている,ドイツ法と対照させながら行うことが適切と考えられることから,比較法の対象をドイツに絞って検討を進めていくこととする。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成26年年度末に予定していた海外出張を,次年度に延期したため。
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次年度使用額の使用計画 |
延期していた海外出張を実施する予定である。
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