研究課題/領域番号 |
24730082
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
八田 卓也 神戸大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (40272413)
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キーワード | 既判力 |
研究概要 |
平成25年度においては、平成24年度の研究の継続として、口頭弁論終結後の承継人に対する既判力拡張のあり方について、日本及びドイツでの議論を整理する形での検討を行った。具体的には、国立国会図書館、東京大学附属図書館、九州大学附属中央図書館等にて、日本民事訴訟法及びドイツ民事訴訟法における既判力の作用関係に関する文献を収集・講読した他、日本民事訴訟法及びドイツ民事訴処方に関する文献を購入・講読し、既判力の作用関係に関連する問題を扱う研究会に出席し、議論に参加した。 以上による研究の成果として、口頭弁論終結後の承継人に対する既判力拡張についていわゆる形式説を採った場合に生じる既判力の空振り問題に対する対処として考え得る、前訴判決の既判力をX所有権に及ぼすという理論操作は、以下のような説明により正当化する余地があるとの知見を得た。即ち、土地所有権に基づく土地明渡請求権を認容する判決が出されて確定した場合、旧訴訟物理論に立つ限り、基準時における「土地所有権に基づく土地明渡請求権」が肯定されている以上、論理必然的に土地所有権が存在しないという事はあり得ない、という説明である。しかし従前、土地所有権に基づく土地明渡請求権を認容する確定判決における所有権の存在は判決理由中の判断で示されている以上、土地所有権の存在には既判力は生じないというのが学説・判例(最判昭和30年12月1日民集9巻13号1903頁)における一般的理解である。この一般的理解をどう克服するかが課題であることも、今年度の研究成果として確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
既判力の作用関係について、口頭弁論終結後の承継人に対する既判力拡張を無理なく説明することの出来る一つの仮説としての理論に到達し、同時にその課題も析出できているから。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、以下の二つを軸に研究を進める予定である。①ドイツにおける既判力の作用関係に関する議論をより詳細に研究すること。②土地所有権に基づく土地明渡請求訴訟認容確定判決の既判力が土地所有権に及ばないとする従前の学説・判例理論を克服する議論を検討すること。
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次年度の研究費の使用計画 |
予定していたよりも国内出張の回数を減らしたため。また、必要に応じて行う事を予定していた海外出張を行わなかったため 国内出張、ドイツ・日本の文献の購入にあてる。また、状況に応じ可能であれば海外出張を行う。
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