以下の2つの知見を得た。①既判力を訴訟物を基準とせず判決理由中の判断に既判力を及ぼす必要がある局面が存在し得る。②既判力の作用局面のうちの前訴後訴の訴訟物が矛盾関係に立つ場合については、日本法・ドイツ法ともに近時これを拡大する傾向がある。しかし、ドイツ法は既判力の本質論として一事不再理説を採用しておりこの場合の処理が容易である(後訴の却下でよい)のに対し、日本法では拘束力説が採用されておりこの場合の処理が困難である(前訴判決の既判力を前提として後訴を判断しなければならない)。以上よりドイツと異なり日本ではこの場合の取扱いには慎重さが求められる。
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