本研究は、銀行等の金融機関の経営破綻における規制当局の責任について、その対応なり方向性なりが示されていないわが国の現状から、米国の学説や判例等を具に検討し、比較法的観点から今後わが国において検討すべき法規制の内容と問題点を明らかにするものである。本研究は、特に米国における80年代の金融機関の経営破綻および07年のサブプライムローンに端を発する大手金融機関の経営危機を背景として、米国における銀行等の金融機関の破綻において問題となりうる規制当局の責任問題に関する研究が中心となっている。そこで最終年度にあたる平成26年度は、提出済みの「科研費補助金交付申請書/研究実施計画」に従って、銀行法および金融法分野に関する多くの文献・資料を所蔵する(社)東京銀行協会/全国銀行協会附属の銀行図書館を積極的に利用するなどして、本研究に関する国内外の文献・資料の収集、読込みに努めてきた。 現在、具体的な構想を練りながら、研究論文の執筆作業に取り掛かっているところである。特に今年度の研究では、規制当局・監督当局に対する責任追及に繋がり得るであろう構造的な問題が、2010年のドッドフランク法の制定に伴って導入・整備された早期矯正措置や整然清算権限等の制度にあることを、近時公表された外国文献等で確認することができた。このように、研究開始当初は想定されなかった不測の事態が相次いで生じた。そのため、こうした問題の背景については、研究代表者が所属する研究会で研究報告を行ったものの(2014年11月14日神戸大学商事法研究会「ニューヨーク州における略奪的貸付に対する規制)、平成26年度を最終年度として終える予定であった本研究についても相当な遅れが生じ、未だ研究成果を公表するに至っていない。 したがって、平成27年8月中を目処に研究論文の執筆作業を終え、その後早急に本学紀要に公表する予定である。
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