本研究課題において次に示す成果を得た。第一に、日本法では、民事責任法において多元的な責任原理が存在することを所与の前提としながらも、その関係性を支える基礎理論がなく、実務上の問題が生じていることを明らかにした。第二にオーストリア法を比較法の対象とし、同国法では、契約責任の拡張、危険責任の類推適用、法人の機関概念を拡張する代表者責任、交通安全義務等々、多様な概念及びそれを支える多元的な責任原理の展開がみられることを明らかにした。第三に、多様な責任原理が展開する一つの原因は、使用者責任規定を原因とするものであることを明らかにした。成果は論文において一部公にしており、残りを順次公にする予定である。
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