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2013 年度 実施状況報告書

共同所有制度による景観・環境等の保全

研究課題

研究課題/領域番号 24730088
研究機関上智大学

研究代表者

伊藤 栄寿  上智大学, 法学部, 准教授 (30454317)

キーワード共同所有
研究概要

本研究は、「紛争の母」といわれてきた共同所有制度が、景観・環境等を保全できる制度となり得ることを明らかにすることを目的としている。平成25年度は、3カ年計画の2年目にあたり、日本における具体的な問題状況の検討、区分所有についての実態調査(聞き取り調査)、ドイツにおける共同所有制度の理論的検討を行った。
第1に、区分所有制度について、多くの紛争が生じている一つの原因として、権利構造が複雑であり、その理解不足があることを明らかにした。
第2に、円滑・適正な管理が行われているマンションについての聞き取り調査を行った。そこでは、コミュニティ形成が、日常的な管理はもちろん、震災等の非常事態からの回復に際しても重要な役割を果たすことが明らかとなった。さらに、区分所有法等の法制度に対する正確な知識を有することが、紛争を未然に防止しうることもわかった。管理・コミュニティ形成の関係について、さらに検討を深めることが今後の課題である。
第3に、沖縄久高島について、島の長年の歴史からくる「島民の意識」により景観・環境等が保全されているのであり、歴史等の特殊性がない限り、他の地域に応用することは難しいとの結論に至った。
第4に、日本の共同所有制度に大きな影響を与え続けているドイツ共有法について、現地で文献収集等を行い、近時の議論を検討した。日本と異なり、ドイツでは、共有者に共有物の管理義務が負わされている。このことにより、共有物の適切な維持管理がなされ、その結果、共有による景観・環境等が保全されている可能性がある。この点、さらに検討を深めたい。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成25年度は、(1)日本における具体的な問題状況の検討、(2)区分所有についての実態調査、(3)ドイツにおける共同所有制度の理論的検討、以上の3点を達成することを目標としていた。
(1)については、マンション紛争の原因の1つが、権利構造が複雑であることにあり、主体・権利にしたがった分析検討が必要であることを明らかにした。
(2)については、聞き取り調査により、日常的な管理はもちろん、震災等の非常事態からの回復の場面で、とくにコミュニティ形成が重要な役割を果たすことが明確となった。
(3)については、ドイツ共同所有制度の近時の議論を分析検討し、公表することができた。
当初の目的であった以上の3点を達成することができたため、研究は「おおむね順調に進展している」といえる。

今後の研究の推進方策

平成26年度は、研究の最終年にあたる。課題は、(1)紛争を防止し、景観・環境等を保全できる区分所有法制の構築、(2)久高島において、景観・環境等を保全手段している共同所有制度についての最終検証作業、(3)団体法的な共同所有理論とドイツ法との比較検証作業である。そして、以上の3点をまとめ、最終的に、景観・環境等を保全できる共同所有制度の構築を目指す。
以上の内容については、比較法学会ミニシンポジウム、マンション学会の研究会、比較区分所有法研究会などで報告を行い、民法・区分所有法の専門家から意見聴取を行う。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2014 2013

すべて 雑誌論文 (3件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] ドイツにおける共有者間の法律関係2014

    • 著者名/発表者名
      伊藤栄寿
    • 雑誌名

      名古屋大学法政論集

      巻: 254 ページ: 183-216

  • [雑誌論文] 共同所有理論の現状と課題2013

    • 著者名/発表者名
      伊藤栄寿
    • 雑誌名

      民事研修

      巻: 674 ページ: 2-14

  • [雑誌論文] マンションにおける区分所有者の権利の独立性とその限界2013

    • 著者名/発表者名
      伊藤栄寿
    • 雑誌名

      法律時報

      巻: 1063 ページ: 43-48

  • [学会発表] 管理組合の法的権限とその限界2014

    • 著者名/発表者名
      伊藤栄寿
    • 学会等名
      日本マンション学会
    • 発表場所
      東北工業大学長町キャンパス
    • 年月日
      20140419-20140419

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公開日: 2015-05-28  

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