研究課題/領域番号 |
24730097
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研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
白須 真理子 福岡大学, 法学部, 講師 (50609443)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 財産管理 / 親権委譲制度 / フランス |
研究概要 |
近年、離婚の増加に伴い、連れ子を含めた再婚家庭が形成されることも少なくないことが推測される。連れ子と継親との権利義務関係をいかに規律すべきかが問われているところ、実親に認められている親権のうち、財産管理権に関しては、それが離婚後いずれに属するものであるのかさえ、明確ではないのが現状である。そして、連れ子を含むいわゆる「再構成家族」においては、財産管理権の位置づけは一層不明瞭である。そこで、本研究は、フランス法を参照し、財産管理権の共同性という視点から財産管理権の性質や意義を検討しようとするものである。財産管理権はいかなる場合に共同行使され、いかなる場合であれば単独行使とされるのか、また、共同性の意義はどこにあるのかといった点を分析することを目的とする。 本年度は、これまでに行ってきたフランス法の親権委譲制度の研究の延長として、親権委譲制度における財産管理権の議論を把握する作業を行った。親権を委譲するとき、財産管理権は通常、委譲の対象となりうる権利義務として、被委譲者により行使されうることとされているが、そのような扱いに対して疑問を呈する学説もある。この点に関して、日本家族<社会と法>学会の第29回学術大会において報告を行った。また、拙稿「フランス親権委譲制度からみる再構成家族」家族〈社会と法〉学会29号(近刊予定)で公表予定である。財産管理権の共同性について考察するうえでは、引き続きこの議論を追い、分析する必要があると考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は、国内学説の整理、親権委譲制度における財産管理権の学説の整理まで行うことができた。また、フランスに赴き、財産管理権の共同性に関する資料を収集することもできたが、その詳細な分析に取り掛かるところまではできていない。その理由は、本研究の応募当時に想定していた以上に、本研究以外の仕事をいただいたためである。
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今後の研究の推進方策 |
研究状況はやや遅れているが、財産管理権の共同性の議論に関する資料は収集済みであるので、当初の予定通り、まずはこの議論の分析に取り組む。遅れは、夏期休暇を利用すれば取り戻せる範囲であると考えているため、夏期休暇の間に調整を行いたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
主に、文献の購入費用及び渡仏費用に使用する予定である。研究の進度がやや遅れているため、必要でありながら未購入の文献が既にある。本年度の研究費のうち、未使用分は、その購入費用に充てる予定である。
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