研究課題/領域番号 |
24730100
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研究機関 | 首都大学東京 |
研究代表者 |
畑中 綾子 首都大学東京, 社会(科)学研究科, 助教 (10436503)
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キーワード | 医行為 / 非医療者 / 法的責任 |
研究概要 |
学校現場で生徒児童が意識を失ったり、ショック状態に陥ったとき、なんらかの医療的措置をとらなければならないことがある。また、生徒児童の中には、日常の学校生活を送るうえでなんらかの医療的なケアを必要とする子もいる。このとき教員は、生徒児童に医療行為を提供することができるのか、あるいは提供すべきであろうか。 医師以外による医療行為は、医師法17条「医師でなければ、医業をしてはならない。」との規定により禁止される。この規定に違反した場合、「3年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金に処し、またはこれを併科する」(医師法31条1項1号)との罰則が設けられている。 教育現場における教員による医行為の可能性として、特別支援学校と普通学校の双方で、どのような職員がどのような医行為が可能となるかの現状を調査し、それに対する法的責任について検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
非医療者による医行為については、日本国内での事例や実態についてはおおむね調査をすることができた。また、非医療者の医行為に関する論考も発表することができた。 一方で、海外の事例については、アメリカの州ごとの差などの把握が難しく、いくつかの州を絞った調査が必要となっている。
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今後の研究の推進方策 |
非医療者による医行為が必要な場面としては、学校現場を中心に研究を行ったが、実際には、在宅医療や在宅介護など高齢者に向けた医行為あるいは医療的ケアの提供体制が求められている。 今後は、高齢社会総合研究機構の職務としても、在宅医療のフィールド研究をすべき立場にあることから、現場の介護士、看護師などとの連携を図り研究をすすめていく予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
米国での学校教育におけるスクールナースの活用や、一般教員における医療的ケアの可能性についての調査をすすめていたが、調査を進める中で、州ごとの違いが大きいことがわかり、どの州を対象とすることが日本との比較の点で有効かを決定するまでに多方面に相談するのに想定以上の時間がかかってしまったため。 調査が十分にできなかった米国のスクールナースや一般教員の法的責任についての海外調査を実践すするとともに、国際医事法学会での調査結果の報告を目指す。
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