平成25年度の研究は、環境・権利救済法における手続法上の団体訴訟の展開およびその位置付けについての研究を行った。これにより、改正前・改正後を問わず、環境・権利救済法の意義それ自体の理解に奉仕するものと考えている。 そして、本研究においては、まず、ドイツ行政法における手続的瑕疵の制度および連邦自然保護法における手続法上の団体訴訟の展開の整理を行った。なお、環境・権利救済法で手続法上の団体訴訟が導入される以前は、原則として、手続の瑕疵のみを理由に訴訟を提起することは許容されてこなかった。けれども、ドイツ連邦自然保護法下における自然保護団体の協働権侵害については、例外的に、手続の侵害のみを理由とした訴えが許容されてきた。そのため、連邦自然保護法上の展開が、環境・権利救済法の議論へと結実している。 他方で、環境・権利救済法においては、主に環境親和性審査(いわゆる環境アセスメント)の瑕疵について、手続法上の団体訴訟を許容している。それゆえ、ドイツにおいては、環境・権利救済法が制定されたことによって、手続的瑕疵に対する訴訟の可否、換言すれば、環境親和性審査の主観化が議論されている。けれども、目下、ドイツにおいては、環境親和性審査の主観化については否定する意見が根強く存在している。 このような状況ではあるものの、申請者としては、団体訴訟の導入を契機に主観化が論じられてきている点に注目しており、そしてまた、団体訴訟を行政法学における例外として位置付けること以外にも、従来までの体系に沿って団体訴訟を位置付けることも視野に入れて検討されるべきではないかと考えるに至っている。そこでの、そのための文献収集をドイツにて行い、これらの研究実績については、目下、公表論文を執筆中である。
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