研究課題/領域番号 |
24730107
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 南山大学 |
研究代表者 |
洞澤 秀雄 南山大学, 法学部, 准教授 (60382462)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 環境意思決定 / 環境法 / リスクと法 / 住民参加 |
研究概要 |
平成24年度は、大浜啓吉『自治体訴訟』において、「環境訴訟」との論題で、公害防止協定と裁判について市民参画の観点をも加味して論じた。また、同書において「取消訴訟」との論題で、自治体における訴訟の特性について論じた。本研究の研究目的との関連では、前者は、市民による参画や統制が及びにくい契約手法について環境法の観点から検討したものであり、後者は意思決定過程への参加の最終段階である司法アクセスについて議論をしたものである。環境訴訟については、研究会報告で「環境訴訟における司法アクセス」として、イギリスにおける環境訴訟の特性について報告を行った。 また、別の研究会にて、「基盤施設の整備・管理と法」として、公共施設等を含めた都市の縮減・集約化について市民の価値判断をも含めた実体的・手続的統制のあり方について報告した。本研究における市民の価値判断の反映の一場面として、今後の日本において論ずべき局面であると考える。 判例評釈として、二項道路と処分性に関する評釈を著し、原告適格に関する判例報告(サテライト大阪事件差戻後第一審判決)を行った。いずれも市民の司法アクセスの観点から本研究とかかわるものである。 全体の研究の中で、平成24年度は意思決定過程と市民の価値判断についての実態調査を行う予定であったが、調査を十分に行うことができず、意思決定過程の最終段階の司法アクセスについての論稿等が中心となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成24年度から所属先の大学が変わったため、それに係る公私の雑事に追われ、国内での調査研究を行うことができなかった。 但し、国内調査での目的の一部は、所属する土地総研の研究会での報告等にて一定程度補えていると考える。同研究会においては、住民参加についての報告を伺い議論をするとともに、自分の報告(「基盤施設の整備・管理と法」)として、風力発電所の設置をも含む公共施設・民間重要施設の設置に係る実体的・手続的法制のあり方について報告・議論を行ったためである。また、民主科学者協会法律部会の研究合宿に参加し、施設の立地について環境社会学者の議論を聞くとともに、六ヶ所の原子力諸施設、建設中の大間原発をめぐり、論叢のある施設の立地における住民参画の認識を深めた。 論文執筆や研究会報告については、司法アクセスについての論稿を執筆するとともに、上記のように施設設置に係る報告を行った。しかし、住民の懸念・リスク評価については十分に検討する暇がなく、論文としてまとめたり、報告をするまでには至らなかった。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度に十分に行えなかった、国内での調査、特に風力発電施設の設置手続についての自治体への調査を行う。また、それを踏まえイギリス調査として、環境意思決定手続について、風力発電施設などを中心に、実務面と理論面でのインタビュー調査を行う予定である。 イギリスの環境分野での市民参加と司法アクセスについて、平成25年度の10月ごろに早稲田大学現代政治学研究所の研究会にて報告を行う予定である。その他、調査に基づき、イギリス行政法研究会での報告もしたいと考える。 論文執筆としては、原告適格に係る小論を準備している。風力発電施設に係る住民参加については、準備を進めており、調査が終わり次第、執筆に移る。イギリスでの風力発電施設を中心とした施設についての住民等の手続関与に関する法学的検討は、年度末頃には紀要に掲載できるように進めている。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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