本研究は捕鯨問題を例にとり、日本の自然保護団体の特徴を欧米と比較しながら考察した。その結果、次のような知見が得られた。まず、日本の政治文化の影響を受ける形で日本の団体の活動は穏健なものとなり、保存(捕鯨全面禁止)ではなく保全(生態系に悪影響を与えるような捕鯨の禁止)を中心とした主張を展開するようになった。また、衝突を避ける日本の政治文化の中で、欧米の反捕鯨活動が作り上げた過激なイメージが、日本の反捕鯨団体の発展を阻害した。そして、越境的なNGO活動(特に直接行動)は、現地社会と軋轢を生じ得ることから、グローバル・ガバナンスに必ずしもプラスに働かないことも示された。
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