研究課題/領域番号 |
24730115
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
石黒 大岳 九州大学, 人文科学研究科(研究院), 助教 (30611636)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 選挙 / 議会 / 政党 / クウェート / バハレーン / 湾岸諸国 / 民主化 / ガバナンス |
研究概要 |
本年度は、二次文献資料の収集と分析を経常的に行った。現地でのインタビュー調査と一次資料収集については、バハレーンにおける政治状況と研究環境が厳しくなったため、止むを得ずクウェートに限定して行った。 クウェート調査では解散に伴い12月に実施された国民議会選挙について、最高国民選挙委員会より選挙監視員の資格を得ることができたため、内務省選挙事務局と各投票所内での観察調査と、事務運営担当者や選挙管理者(裁判官)、立候補者の代理人、運動員等への聞き取り調査を行った。この調査によって、選挙プロセスについて、事前準備の段階から投開票までの実態を把握することができた。 7月の英国への海外出張ではケンブリッジ大学で開催されたGulf Research Meeting 2012のワークショップ"The Arab Spring: Impacts and Consequences on the GCC"にて研究報告を行ったほか、エクセター大学で開催されたGulf Conference 2012に参加し、湾岸諸国を専門とする各国の研究者やアナリストらと意見交換を行うことができた。 研究成果としては、非民主主義体制における議会の役割という観点から分析を進め、6月の日本比較政治学会において「中東湾岸君主国における議会の役割」という題目で研究報告を行い、議員たちが政府や王族による不透明な利益配分に対し、閣僚への問責質問権を積極的に活用し、行政に対する監視機能を果たしていることを明らかにした。報告内容は論文「中東湾岸君主国における議会政治の展開」として学内紀要に収録されたほか、2月に刊行された単著『中東湾岸諸国の民主化と政党システム』(明石書店刊)の内容の一部にも反映されている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
クウェートに関しては先に述べた通り、現地調査にて選挙プロセスの実態が把握できたほか、分担者となっている他の研究グループでの調査で国民議会を傍聴をすることができ、審議の開始から法律案の採決までの議事運営の実態を把握することができた。加えて、新たにThe Center for Research and Studies on Kuwait (CRSK)やGulf University for Science and Technology、Kuwait Transparency Societyといった現地の研究機関やNGOとの研究協力関係を築くことができ、現地調査としては当初の計画以上に進展した考える。また、英国での研究報告は、当初25年度に予定していたものの、前倒して実施できた。 他方で、バハレーンについては二次文献資料の収集と分析および英国出張時に海外研究者との意見交換を行うことはできたものの、現地調査を行うことはできなかったため、当初の見込みほどには研究を進展させることはできなかった。 研究成果としては国内と国外で各1回研究報告を行った。論文については紀要への掲載となったものの、研究成果公開促進費の助成による単著へも本研究での成果を反映させることができたことから、総合的にはおおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き二次文献資料の収集と分析を経常的に進めるとともに、クウェートに関しては次年度に予定している国内と海外での報告に向けてペーパー執筆を進めて行く。バハレーンに関しては、海外での研究報告の際に海外からの研究者と意見交換を行い、現地情勢を慎重に見極めた上で、現地調査または第三国での代替調査を進めたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
海外発注済図書の納品が年度内に間に合わないとの連絡を会計締めの直前に受けたものの、海外出張で対応が間に合わず、633円の次年度使用額が生じた。 次年度において請求する金額とあわせた研究費の使用計画としては、物品費に20万633円、旅費に70万円、人件費・謝金等に4万円、その他に6万円、計100万633円を使用する計画である。
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