研究課題/領域番号 |
24730115
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研究機関 | 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所 |
研究代表者 |
石黒 大岳 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, その他部局等, 研究員 (30611636)
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キーワード | ガバナンス / 民主化 / 議会 / 選挙 / 政党 / 湾岸諸国 / クウェート / 中東 |
研究概要 |
研究計画の2年目にあたる本年度は、議会議事録や委員会報告書、官報などの公文書、報道アーカイブ資料の収集と分析を昨年度から継続して行った。 現地調査について、クウェートでは7月に実施された第15回国民議会選挙に際し、Kuwait Transparency Societyが取りまとめ役となった国際選挙監視団に参加して、立候補者や議員経験者、政府関係者への聞き取り調査を行った。また、国際選挙監視団に参加していたアラブ各国のTransparency Society関係者や学識経験者との意見交換によって、透明性と説明責任の評価基準や、クウェートおよびバーレーンのガバナンスに対する相対的な評価を把握することができた。バーレーンでは政治的な情勢から野党の活動について現地調査が困難と思われたため、代替的に上述の国際選挙監視団に参加していたバーレーンのTransparency Societyメンバーや、英国で開催されたGulf Research Meetingに参加していた元議員らに聞き取り調査を行った。 クウェートの調査に関しては、憲法裁判所の違憲判断が政治プロセスに大きく作用しており、政府と野党の双方が政策やそのもととなる関連法の妥当性について司法判断を仰ぐ傾向が強まっていることが確認された。この点に関する研究成果として、日本比較政治学会において「アラブ諸国の政治変動における司法の役割:エジプトとクウェートにおける議会解散をめぐる政治過程」という題目で研究報告を行った。本報告ペーパーを基に論文を執筆し、ジャーナルへ投稿の予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度も資料収集と分析についての進捗はおおむね見込み通りであった。現地調査についても、昨年度に拡大・構築できた現地との研究協力関係をもとに、議会のパフォーマンス向上に関わる議員の活動について、より細かな聞き取り調査を実施することができた。政府のガバナンス向上への取り組みについても、各kTransparency Societyの評価レポートや担当者への聞き取り結果をもとに、野党議員の活動との関連性を検討をすすめる段階に至った。バーレーンでの現地調査は本年度も困難な状況であったが、代替的な手法で聞き取りを行うことができた。研究成果に関しては、本年度も学会報告を行い、報告ペーパーを基に論文投稿をすすめている段階にある。以上から、現在までの達成度については総合的にみておおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度となる2014年度は、継続的に収集・分析をすすめてきた公文書やアーカイブ資料などの分析結果と聞き取り調査の結果をもとに、野党議員の活発な活動による議会のパフォーマンス向上と、それに対応する政府のガバナンス向上への取り組みについて理論的な説明を行う。その際、司法の役割をどう説明に組込むかや、Social Accountabilityの議論との関連から、本研究の理論的な位置づけを明確にすることが課題となる。また、Transparency SocieiteyなどNGOによるガバナンス評価基準と本研究における指標との整合性が検討課題になると考えられる。
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次年度の研究費の使用計画 |
海外出張にあたり、出張後の精算の段階で当初の見積もり金額との差額が生じたため。 次年度において請求する金額とあわせた研究費の使用計画としては、物品費に55,547円、旅費に630,000円、その他に15,500円、 計701,047円を使用する計画である。
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