研究課題/領域番号 |
24730117
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
飯田 健 同志社大学, 法学部, 准教授 (50468873)
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キーワード | 投票行動 / リスク態度 |
研究概要 |
2013年度の研究実績は次の二点に集約される。 第一に、有権者のリスク態度が2012年総選挙における自民党投票に与えた影響の検証。政権交代はしばしば急激な政策変化を伴い、その政策変化は経済や社会に良くも悪くも不安定性をもたらす。それゆえ、そうした不安定性を嫌うリスク回避的な有権者は選挙において、たとえ与党に不満を感じようとも野党を支持せず、再び与党に投票する傾向が見られるであろう。反対に、リスク受容的な有権者は政権交代を求めて喜んで野党に投票するかもしれない。本研究では、2012年12月の総選挙後に行われた Japanese Election Study V(JESV)のデータを用いて、この仮説を検証した。多項ロジットを用いた統計分析の結果、政党支持態度や経済評価の影響を考慮してもなお、2009年に民主党に投票したリスク受容的な有権者は2012年において自民党もしくは維新の会へと投票先を変える傾向にあったことが示された。 第二に、有権者のリスク態度が2013年参議院議員選挙における自民党への分割投票に与えた影響の検証。混合型選挙制度においては、比例代表と選挙区とでそれぞれ別の政党(の候補者)に投票するという分割投票が起こりうる。なぜ有権者は分割投票を行うのだろうか。それによって何を目指しているのであろうか。本研究では、分割投票のメカニズムをさらに突きつめるべく、有権者のリスク態度に注目しつつ、リスク回避的な有権者ほど分割投票を行う、という仮説を検証した。自民党にさらに強固な権力基盤を与えるかどうかが問われた2013 年参議院議員選挙後に行われた JESVのデータを多項ロジットを用いて分析した結果、自民党の大勝による急激な政策変化を恐れるリスク回避的な有権者は、たとえ自民党を支持していたとしても、比例代表か選挙区のどちらか一方で維新の会や民主党に票を分散させることが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2013年度は、理論構築、データ分析、論文の執筆およびオリジナルのウェブ調査・実験を行う計画であった。前三つについてはほぼ達成されたものの、最後のものについては実施予定時期に私が緊急で1か月半入院し手術を受けることになり準備および実施が不可能となった。このウェブ調査については、研究費を繰り越した上で2014年度の初めに行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度にあたる2014年度は、上述のウェブ調査・実験を実施し、その結果を論文にまとめるとともに、これまでの研究成果をパブリケーションにつなげるべく努める次第である。
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次年度の研究費の使用計画 |
2013年度はウェブ調査・実験を計画しこれに大きな予算を割いていたが、実施予定時期に研究代表者が緊急で1か月半入院し手術を受け、療養を余儀なくされたため実施できなかった。 2014年度の初めにこのウェブ調査・実験を行う予定で準備を進める。
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