研究課題/領域番号 |
24730118
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
茂木 康俊 広島大学, 社会(科)学研究科, 准教授 (00452805)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 業績予算 / 政策評価 / 行政評価 / アメリカ連邦政府 / 行政学 / 行政管理予算庁 / GPRAMA / 公法学 |
研究概要 |
平成24年度は主に欧米における業績予算(Performance Budgeting)の理論と実態に関して検討を行った。その理由は、我が国の政策評価制度導入やその運用に際しては、米国や欧州の事例がしばしば参照されていたためである。1993年にクリントン政権下で成立した米国の政府業績成果法(Government Performance and Results Act: GPRA)は、1990年代以降の我が国の地方レベルおよび国レベルでの政策評価制度導入に大きな影響を与えた。我が国における地方自治体レベルでの政策評価制度導入は、1996年の三重県における事務事業評価制度導入が端緒であったが、三重県の制度導入に際しては、米国におけるこの政府業績成果法に基づく取組が参考にされていた。 平成24年度には、この米国の政府業績成果法の改正法である政府業績成果近代化法(正式名称はGPRA Modernization Act of 2010である。以下、GPRAMAと略記する。)に関して、改正がもたらした政策評価制度の変化やその影響に関して研究を行った。研究成果として、年度前半に学会発表を行い、その内容を基礎として政策評価に関する学術雑誌に論文を公表した。論文の中で、GPARAMAに基づき戦略計画策定手続と業績計画に関する要件が変更されたことを指摘し、結論として政策評価を困難なものとする公共組織の目標の曖昧性などの問題を指摘し、あわせて政権交代を越えて評価結果のデータを活用する(アーカイブする)ことの意義と可能性を論じた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実施計画において、平成24年度は欧米における業績予算の理論と実態に関して検討を行う計画となっていた。我が国の地方レベルおよび国レベルの政策評価制度の運用に影響を与えている米国の政策評価制度の変化について、学会報告および論文発表で成果を公表することができたためである。
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今後の研究の推進方策 |
交付申請書の研究実施計画において、平成25年度は地方自治体の政策評価や業績予算に関して二次データを用いて、中国・四国地方や九州地方を中心とした全国の特徴的な事例を抽出・検討すると記載している。それに加えて、平成24年度の研究の結果浮かび上がった論点である公共組織の目標の曖昧性および政策評価結果のアーカイブ化の問題について、次年度使用額も含めて研究費を支出し、文献調査あるいはインタビュー調査を行いたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度使用額が生じた理由は、平成24年度の研究対象である欧米における業績予算の理論と実態に関して、主に米国における最近の業績予算の実証分析に重点を置き、その論文発表のための研究に重点を置いたため、欧州における業績予算関連の文献の入手に関してあまり支出がなかったためである。平成25年度はあらためて欧州における業績予算関連の文献に関しても必要なものを適宜購入し、その上で交付申請書の研究実施計画に基づき研究の中心を我が国の地方自治体の政策評価や業績予算に移していく予定である。
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