今後の研究の推進方策 |
今後の研究では、まず政令指定都市を中心とした大都市の地方政治と国政の関係についての分析を深めることを目指す。大阪という大都市のみならず、より多くの大都市について議論することが可能となるようなかたちで理論枠組みを精緻化し、地方政治・都市政治の観点から政党システムの制度化について検討していく。 特に注目するのは、地方からの国政への過剰代表(overrepresentation)の問題である。最近では、メキシコやアルゼンチンなど南米の国家を分析対象として、国政における地方の代表のされ方と、地方政治あるいは地方の政党システムが強く結びついていることが主張されている(Gervasoni, C. [2010] "A Rentier Theory of Subnational Regimes," World Politics, Gibson, E.L. and J. Suarez-Cao [2010] "Federalized Party Systems and Subnational Party Competition," Comparative Politics, Gibson, E.L. [2013] Boundary Control, Cambridge UP.など)。このような最近の先行研究を踏まえながら、国政と地方政治の政党システムの相互作用を捉えつつ、日本を中心的な対象として政党システムの制度化についての分析を進めていく。この成果については可能なかぎり早い段階で海外の学会等で発表することを目指す。 さらに理論モデルの構築と並行するかたちで研究の取りまとめを行う。1990年代以降における首長と地方議会の対立を軸とした地方政治の再編成についての研究と,本研究における国政と地方政治の連関に注目した研究を,政党システムの制度化という概念のもとで,単著で包括的に取りまとめる。
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