最終年度にあたる平成26年度は、主として研究成果をまとめ、国際学会等で発信する年と位置付けており、そのための活動に従事した。学術論文としては、マケドニアの汚職対策機関について、その法制度上の発展と実践上の停滞の実態を明らかにし、その規定要因に考察する論文を共著書の一部として発表した。研究発表としては、2014年8月にボスニア・ヘルツェゴイヴィナのモスタルにて開催された国際会議において、ボスニア・ヘルツェゴビナにおける民主主義の質に対して政党内の党首選挙の有無という要因が及ぼす影響について検討した発表を行い、現地の研究者から貴重なフィードバックを得ることができた。また、2014年9月にはセルビア共和国のベオグラードにて開催された国際セミナーにて研究発表を行い、同様の観点から、旧ユーゴスラビア諸国における民主主義の質に対して政党内の党首選挙の有無という要因が及ぼす影響について考察した発表を行い、参加者からフィードバックを得ることができた。 研究期間全体を通じ、旧ユーゴスラビア諸国において度々現地調査を実施し、現地の法制度に関する文献資料や政治家、官僚、研究者らに対する聞き取り調査等を通じて、旧ユーゴスラビア諸国の「民主主義の質」を左右する汚職対策機関や司法機関、現地のNGOやメディア、それに対する政府の対応などについて興味深い資料を多数収集することができた。その分析結果の一部についてはすでに上述の論文のように公刊済みであるが、なお分析中の資料もあり、それらについては、今後研究成果をまとめ、順次発表していきたいと考えている。
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