研究課題/領域番号 |
24730132
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 桃山学院大学 |
研究代表者 |
小宮 京 桃山学院大学, 法学部, 講師 (80451764)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 事前審査制 / 自由民主党 / 政党 / 党組織 / 戦後政治 |
研究概要 |
平成24(2012)年度の目標として、自由民主党に関する資料、公刊資料を中心として収集することを計画していた。各地の公文書館や国会図書館などで調査を行い、自由民主党の刊行物などを収集した。 あわせて行う予定であった、政治家や政党関係者、そのご遺族へも働きかけ、資料調査も実施した。特筆すべきは、元満洲国警務総局長、元熊本市長などを務めた星子敏雄氏の関係資料を確認したことである。星子氏は敗戦後にソ連に抑留された。帰国後は自由民主党本部九州開発特別委員会事務局嘱託を務めた(昭和32年6月16日から昭和35年3月17日まで)。平成25(2013)年3月現在、資料調査は終わっていない。とりわけ貴重と考えられる星子氏の遺した自筆ノートの重要部分の翻刻を行った。さらに、ご遺族への聞き取りを行い、その他の刊行物をも踏まえた解説を付して、「資料 星子敏雄「我が生涯」」『国際文化論集』第47号(2013年3月)として公表した。 本年度の予定として研究計画で掲げた既存研究の再検討を行った。また、研究の現状を報告する機会があった。まず、日本政治学会戦前戦後・比較政治史研究フォーラムで6月に報告を行った。これは外交を視野に入れたものである。大幅な加筆修正を行い、「三井物産大合同の再検討 イラン・ジャパン石油化学(IJPC)プロジェクト前史として」『桃山法学』第20・21号(2013年3月)として公表した。次に、占領期・独立期の政策形成過程の一例として、8月に「大阪市警視庁の興亡」を国際日本文化研究センターにて報告した。同報告を基にした論文は近々公表予定である。以上は個別の論点を中心としたものである。次に、12月の憲法史研究会で「議会制度と総裁吉田茂」と題した報告を行った。議会制度と政党の関係について論じた。事前審査制度については、これまでの総括を行ったうえで、今後の展望を示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画に従って、まずは資料調査に力を注いだ。国会図書館をはじめとして、国内の資料館や公文書館を調査した。また政党関係者などへのご遺族への調査でも成果を得られ、その一部を公表した(「資料 星子敏雄「我が生涯」」)。以上、資料調査の面は順調に進展している。 次に、事前審査制の形成過程を考察するために、従来の研究の再検討や、定着以前の歴史の検討を行った。本年度は、内政や外交への視野を養いつつ、政策形成過程に関する報告を行うことが出来た(「IJPC前史としての三井物産大合同」、および、「大阪市警視庁の興亡」)。加えて、これまでの研究を踏まえ、現状報告も行った(「議会制度と総裁吉田茂」)。一連の報告を踏まえた成果の公表も着実に進んでおり、こちらも順調と評価できる。
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今後の研究の推進方策 |
研究二年目にあたる平成25(2013)年度は、国内外の資料を広く収集し、自由民主党の党組織の変容、関連する役職のキャリアパス、等々、基礎的なデータの作成に着手する。途中経過を報告することを計画している。 具体的には、前年度に引き続いて、国内の資料館等における資料調査、政党関係者調査などを継続する。加えて、国外での調査、アメリカの公文書館や大学図書館での資料調査を計画している。これにより、戦後の日本の議会政治に関して、考察を深めたい。このように国内外各地の資料調査をすすめ、必要な文書を適宜複写・マイクロ化し、データを整理する。 中間報告を行うべく、学会報告の準備をすすめる予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
「次年度使用額」が生じた理由は二つある。第一に、研究成果を掲載した学術雑誌の刊行が予定より遅れたことに伴い、抜刷代の支払いも年度をまたぎ4月初旬になったこと、第二に、翻刻作業の支払いが遅れたため、締切に間にあわなかったこと、である。ともに次年度に入ってすぐに執行済みである。 平成25(2013)年度は、研究計画で記したとおり、前年度に引き続いて、国内外の資料を広く収集するため、調査のための「旅費」を中心に計上している。国内では国会図書館や公文書館等の調査、海外ではアメリカの大学図書館等の調査を計画している。調査先で必要な文献の複写等に必要な「その他」の予算、データ整理等のための「人件費・謝金」も計上している。他には、研究遂行に必要な資料や書籍の代金を「物品費」を計上している。
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