研究課題/領域番号 |
24730132
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研究機関 | 桃山学院大学 |
研究代表者 |
小宮 京 桃山学院大学, 法学部, 准教授 (80451764)
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キーワード | 事前審査制 / 自由民主党 / 政党 / 党組織 |
研究概要 |
平成25(2013)年度の目標を踏まえ、各地の公文書館や国会図書館などで調査を行い、公文書を中心に収集した。政治家や政党関係者、そのご遺族への資料調査も実施した。 ご遺族に資料を提供して頂いた原玉重(元衆議院議員)の史料に関して『日本歴史』2013年12月号(787号)に紹介した。また、中澤俊輔氏が発見した「山川健次郎日記(写本)」は非常に貴重な史料であるため、その一部の翻刻と紹介を掲載した(『中央公論』2014年1・2月号)。 本年度は、当初計画通り、学会等で中間報告を行った。特に内政面に注力し、戦前から1960年代まで、幅広く検討し、報告を行った。まず、自民党の党近代化に深くかかわった政治家である三木武夫に関して、6月に報告した。それも踏まえ「三木武夫研究序説」『桃山法学』第22号(2013年10月)として公表した。次に、占領期・独立期の政策形成過程の一例として、財界の活動に焦点を当て、7月に「大阪財界の挑戦」を国際日本文化研究センターにて報告した。そして、占領期・独立期の警察制度改革に注目し、継続的に報告を行った。11月には京都産業大学社会安全・警察学研究所で「警察制度改革と地方分権」を、1月には同時代史学会・第12回関西研究会で「自治体警察に関する一考察」を報告した。従来の研究では全く検討されていない組合警察制度を取り上げており、警察研究としても大きな意義を有すると考えられる。前年度の報告を踏まえた論文「大阪市警視庁の興亡」が、査読を経て、『年報政治学』2013-I号(2013年6月)に掲載された。 また、中澤俊輔氏とともに第56回憲法史研究会で「山川健次郎とその時代」を報告した。山川の日記(写本)をもとに、戦前の東京帝大総長や貴族院議員時代の政策形成過程について、戦後との比較を念頭に置きつつ考察した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画に従って、資料調査に力を注いだ。国会図書館や各地の公文書館、議会事務局等を調査した。また資料調査と並行して、ご遺族への聞き取りなども実施した。以上、資料調査の面は順調に進展している。 次に、引き続き、定着以前の歴史の検討を行った。本年度は、とりわけ内政に関して検討をすすめ、財界や(「大阪財界の挑戦」)、警察制度改革に関する報告を行った(「警察制度改革と地方分権」、および、「自治体警察に関する一考察」)。戦前との比較も行った(「山川健次郎とその時代」)。 他に、自民党の党組織に関しても考察を深めた。党近代化を主張した三木武夫に関して、論文をまとめることが出来た。 一連の報告を踏まえた成果の公表も着実に進んでおり、こちらも順調と評価できる。
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今後の研究の推進方策 |
研究三年目にあたる平成26(2014)年度は、国内外の資料を広く収集し、これまでに収集した自由民主党や公文書、私文書等の整理を行いつつ、成果をまとめることを計画している。 具体的には、引き続き、資料館等における資料調査、政党関係者調査などを継続する。あわせて戦前の議会制度と比較を行うことで、戦後の日本の議会政治に関して、考察を深めたい。資料調査をすすめ、必要な文書を適宜複写・マイクロ化し、データを整理する。 そのうえで最終成果をまとめる予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
「次年度使用額」が生じた理由は、第一に旅費の未執行である。平成26年初頭に公文書の開示請求を行ったところ、予想以上に時間を要したため、年度内の現地調査が不可能となった。第二に謝金の執行遅れである。こちらは資料整理が追い付かなかった。以上の結果、当初予定を下回ることとなった。 研究三年目にあたる平成26(2014)年度は、国内外の資料を広く収集し、これまでに収集した自由民主党や公文書、私文書等の整理を行いつつ、最終的に成果報告をまとめることを計画している。 具体的には、引き続き、資料館等における資料調査、政党関係者調査などを継続する(「旅費」の計上)。あわせて戦前の議会制度と比較を行うことで、戦後の日本の議会政治に関して、考察を深めたい。資料調査をすすめ、必要な文書を適宜複写・マイクロ化し(「その他」の予算の計上)、データを整理する。他に、必要な資料や書籍等の購入も行う。これらに、前年度からの継続分の費用も含め、使用する。
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