研究課題/領域番号 |
24730134
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
相沢 伸広 九州大学, 比較社会文化研究科(研究院), 准教授 (10432080)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 比較政治 / 東南アジア / 地域研究 / タイ / インドネシア / 空港建設 / 都知事 / 防災 |
研究実績の概要 |
本研究3年目にあたる平成26年度は前年から続いたタイの政治混乱で研究対象先である政府各省庁ビルや関連法人がデモの標的にされ、さらに5月にはタイで軍事クーデタが発生したことで当初計画通りの研究が遂行できなくなった。そこで、国内における次善調査として、日本側の関係者に対する聞き取り調査を行うとともに、国内において収集資料の分析のみが可能な状況であった。したがって、本研究は臨時的に平成27年度への延長申請を行い、最終的な研究成果発表、完成を平成27年度に延期した。
平成26年度には上記の限られた状況の中で、計画を一部変更し、収集済みデータを土台にして空港建設関係諸機関(タイ運輸省、AOT, NBIA、空軍)の人事データベースを完成させた。加えて、この時期にスワンナプーム国際空港第二期工事が決定されたことを踏まえ、新たに二期工事開始に至る政治プロセスの情報収集、分析を行った。 平成26年度に行った一連の情報収集の中からタイのスワンナプーム国際空港建設に重要な役割を果たしたJICAの関わりについて分析成果を出し、その一部として、JICAの空港建設支援をめぐる日タイ協力の歴史を、米国ワシントンDCのGerman Marshall Fund of the United States にて開催された Public Workshop on Japan's Democratic Alliancesにて発表を行った。 また、構築したデータベースの分析結果の一部は、「インラック政権の蹉跌:2013年のタイ」アジア経済研究所編『アジア動向年報2014』の中で、発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初現地調査によって、データ収集を実施する予定であったタイ運輸省および空港公団等のタイ政府機関、および関連法人が 2013年11月に始まった国内の政治対立により、反政府デモの標的となり、機能停止に追い込まれ調査ができなくなった。2014年5月には追い打ちをかけるように、軍事クーデタが発生したことで、こうした政府機関の情報公開は極端に制限されたため、当初計画していた現地調査が実行不可能になった。こうした事態を受けて、平成26年度は国内での文献調査、データ分析に切り替えたものの、当初予定していた現地調査で入手するデータは未収集のため計画に比してやや達成が遅れている状況である。
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今後の研究の推進方策 |
クーデタから約一年間が経過し、タイにおける調査環境状況は好転しつつある。計画変更に当たって困難となった各省庁とのコンタクトも復旧しつつあり、研究協力再開の確約を得ている。当初平成26年度に予定していた現地調査を平成27年度に実施し、データベースを完成させる。その上でその分析結果について学会で発表しまた、論文を完成させる。
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次年度使用額が生じた理由 |
2013年11月以来、タイにおける政治対立の結果、反政府デモが当初の調査対象である運輸省や空港公団などを機能停止に追い込み、調査が滞っていた。加えて2014年5月には軍事クーデタが発生し、戒厳令のもと、各政府機関に対する調査ができないようになってしまったため、現地調査の予算が未使用となった。
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次年度使用額の使用計画 |
26年度に未使用となった現地調査予算は、27年度の現地調査予算として活用する。 現在は昨年度に比してタイの政治状況もはるかに安定し、調査が可能となったため、27年度後半に最終調査を実施し、その際の予算として、繰越分を使用する。
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