ウィルソン政権下で実施された、メキシコ、ハイチ、ドミニカ共和国に対する米国の介入政策を考察し、現代のリベラル介入主義の歴史的起源でもあるウィルソンの介入主義の特徴を解明した。結果として、次のような特徴が明らかになった。①リベラルな目的(民主主義や人道)の真摯な追求、②相手の主権尊重を志向する正しい力の行使としての介入の模索、③それを可能にするための介入の正当性や合法性の重要性に対する強い認識、④相手国との間で共通の利益や理念を構築し、共有することの困難さ、⑤目的が崇高であっても、介入が常に所期の目的を達成できるとは限らない、リベラル介入が直面する実効性の限界、である。
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