研究課題/領域番号 |
24730140
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 滋賀大学 |
研究代表者 |
大村 啓喬 滋賀大学, 経済学部, 講師 (50609344)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 内戦 / 天然資源 |
研究概要 |
本プロジェクトの目的は、天然資源を種類別・性質別に分類し、また内戦状態を従来よりも動態的な現象として捉えることで、どのような天然資源が内戦のどの状態に影響を及ぼしているかを明らかにすることである。初年度前半は、先行研究の検討と理論的考察を進めた。初年度後半には、理論的考察から導き出された仮説を検証するために大規模なデータセットを作成し、統計的な方法を用いた仮説検証作業を行った。また、次年度に行う事例研究の資料収集や資料整理を、学生アルバイトを雇用して進めた。 具体的は、反乱軍にとって、富への欲望を刺激し、活動の財政的基盤となりやすい奪取可能性の高い資源が、各内戦状態(発生、継続、終結、再燃)にどのように影響しているかについて分析し、複数の論文を執筆した。加えて、内戦は発生、継続、終結、そして再燃が連続的に起こる動態的な現象であり、現在の状態はそれ以前の状態に依存していることが理論的考察で明らかになったため、初年度は内戦の継続と終結の関係を考慮した論文を作成し、International Studies Association年次大会及び日本国際政治学会研究大会にて研究報告を行った。両学会では、理論的な側面から分析手法について多岐にわたるコメントを受けることができた。 次年度以降は、内戦の継続と終結の関係だけでなく他の状態も考慮した計量分析を行うとともに、因果メカニズムを特定するために事例研究に取り組む予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的を達成するための研究の進捗過程は、1.先行研究の検討と理論的考察、2.データセットの作成と計量分析、3.事例研究、4.研究報告とフィードバック、5.学術雑誌への投稿の5段階を予定している。当初の研究計画では、24年度には1と2に取り組むこととなっており、予定通りに作業を進めることができたと評価している。また、一部の研究成果については国内外の学会で報告を行い、貴重な助言なども得ることができた。もちろん、本研究を進めるのと並行して、内戦と天然資源に関する多くの研究成果が発表されており、他の研究成果との差異化を図る上で、次年度にはデータセットの精緻化と再分析、そして少数の事例研究による因果メカニズムの特定が必要となることは言うまでもない。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究推進についてであるが、次年度は、少数の事例に焦点を当てて事例研究を行う予定である。事例研究では、24年度の理論研究と計量分析によって明らかになった重要度の高い独立変数に注目し、各変数の変化が従属変数である内戦状態の変化にどのように働いているかを詳細に記述する。次々年度は、25年度まで別々に作業を行ってきた計量分析と事例研究を統合した分析を行う。事例研究では、少数の事例を比較するものと、東ティモール1か国に焦点を当てた事例分析を実施する予定である。少数の事例を比較する比較事例分析では、内戦ごとに存在する特別な要因や背景を明示的に分析に取り入れて比較事例分析を行うことで、一般性の高い検証結果を導き出すつもりである。また、東ティモールに焦点を当てた分析では、豊富な天然資源の存在が内戦国の紛争後の平和(再燃の可能性)にどのような影響があるかを分析する予定である。東ティモールに関する研究では、インターネットや郵送などで収集が難しい資料がある場合には、現地調査を実施することを計画している。 また、これらの作業に並行して、積極的に研究報告を行うことを予定している。
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次年度の研究費の使用計画 |
25年度の研究費の使用計画は以下の通りである。 物品費:事例研究を行う為に必要な書籍を購入する予定である。また、プリンター用のトナーも購入する予定である。 旅費:研究成果の発表のための海外学会の旅費及び東ティモールへの現地調査の旅費 謝礼:事例研究を行う上で必要となる膨大な資料の収集および整理を学生にお手伝いして頂く予定である。また、国際誌への投稿に際して必要となる英文校正を業者にお願いする予定である。 その他:資料のコピー代
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