研究課題
本研究は、日英同盟がなぜ、どのように廃棄に至ったのかを、国際的要因、世論要因、経済要因という三つの視角を立てて、実証的・多面的に解明するものである。本年度は、昨年度までの成果を踏まえて、研究成果を著書、学術論文、学会報告の形で、国内外に広く発信することに力を入れた。主な研究実績は、以下の通りである。①日英同盟を大きく動揺させることになった第一次世界大戦初期の日本外交について、日本の大戦への参戦過程、対華二十一ヵ条要求への対応、日本やイギリス、中国における世論の動向などに焦点を当てながら分析を進め、著書(単著)『対華二十一ヵ条要求とは何だったのか』としてまとめた。また、第一次世界大戦期の政治や外交を主題とした論文集に寄稿するとともに、関連する学術論文を学術雑誌などにも発表した。②日英同盟の締結から廃棄に一貫して深くかかわった日本の外交指導者・加藤高明の論説『滞英偶感』を編纂し、詳細な註・解題を附して公刊した。③明治末期から大正期にかけてイギリスと深いかかわりを持った政治指導者・大隈重信が主宰した総合雑誌『新日本』の復刻出版を監修した。出版に際しては、今後の研究者の便を考え、詳細な解題を附した。④国内外の学会やシンポジウムにおいて、研究成果を発表した。具体的には、日本国内において東アジア近代史学会のシンポジウム、日本国際政治学会の部会、海外においてはEAJSの研究大会、ルール大学ボーフムの国際シンポジウム、ベルリン独日協会主催の講演会などである。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (9件) 学会発表 (6件) (うち招待講演 2件) 図書 (3件)
加藤高明『滞英偶感』(中公文庫)
巻: - ページ: 189-225
法学論叢
巻: - ページ: 266-327
伊藤之雄編著『原敬と政党政治の確立』(千倉書房)
巻: - ページ: 239-321
山室信一・岡田暁生・小関隆・藤原辰史編『現代の起点 第一次世界大戦』 第1巻(岩波書店)
巻: - ページ: 127-147
Tosh Minohara, Tze-ki Hon and Evan Dawley eds., The Decade of the Great War: Japan and the Wider World in the 1910s, Brill
巻: - ページ: 189-2410
巻: - ページ: 1-39
巻: - ページ: 348-396
奈良岡聰智監修『新日本 復刻版』(柏書房)
巻: - ページ: 1-31
公研
巻: 52巻8号 ページ: 38-55