本研究は、日英同盟がなぜ、どのようにして廃棄に至ったのかを、一次史料に基づいて解明することを目的としたものである。本研究では、日本が第一次世界大戦に積極的に参戦し、中国に対華二十一ヵ条要求を提出する過程で、イギリスの対日不信感が増大したという事実を重視し、この間の日英関係の分析に主力を注いだ。分析にあたっては、国際的要因、世論要因、経済要因という三点を重視した。本研究の意義は、第一次世界大戦期の日本の積極的勢力拡張政策が、戦前期日本外交の基軸であった日英同盟を崩壊させ、日本を国際的に孤立させる要因として極めて重要な意味を持っていたことを明らかにしたことにある。
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